東条グループを抜け出した私は、トボトボ街中を彷徨うように歩いていた。



とても会社に戻る気にはなれず、都会の騒音に紛れていたかったの。




グルグルと駆け巡る言葉の往来を、街の喧騒が消去してくれそうで・・・





“最低…、プライド無し、節操なし”



インプットされた言葉を勝手に変換し、ネガティブ思考に陥っていた。




何も知らない人から見れば、そう見えても仕方がナイのかもしれない。



社長を誑かせて社長秘書の座に易々と得た、プライドのナイ女だと…。




だけれど中傷の言葉たちは、ただ付属の理由でしかなくて・・・



拓海に秘書として必要とされてないコトが、何よりも堪えた。



貴方へのキモチを支えに、必死で不慣れな仕事に奔走していたのに…。




「っ・・・」


ホラ…思い返すだけで、グッと込み上げてくる。



これだけの事で、貴方を支える自信を失いそうな私は愚弄だね…?





“俺の傍を離れるな”


離れたくない…、一生、貴方の隣で笑っていたい…。



それなのに逃げた自分のコトが、よく分からないの…――