ケータイ小説 野いちご

冒険物語

◆第一章 リコシェ
ファイ




街の中心にあるカンシティ駅は、網の目のように張り巡らされた交通網の要所であり、この日もたくさんの人々で溢れていた。

「エータ、急いで!」

駅に降り立ったファイは小走りに走りながら、後ろを歩く大男の名を呼んだ。

「大丈夫ですよお嬢様。まだ時間は十分ありますから」

男はやけに大きな旅行用のトランクを持ち直し、駅の時計を見上げた。

「ほら、まだ三十分はあります」

「口答えしない!家宰でしょ?」

「諫めるのも仕事です」

エータは苦笑いをこぼし、ファイの頭にポンと手を乗せた。

「すぐそうやって子供扱いする」

ファイは頭を振ってその手を払いのけ、トランクをもぎ取った。


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