『ごゆっくり』


美海さんの言葉通り、一條夫妻の計らいのおかげで、あたしたちは再びパーティー会場に戻ることもなく、ホテルで翌朝を迎えた。


『ごめんなさい』


2人して一條夫妻に頭を下げに行った時、『なかなか盛り上がったようで』と、笑われた。

隠し切れなかった、赤い痕のおかげで。


そして、『そんな!!い、1回しかしてません!!』

と言いそうになった口を、見事に悠河の手に阻止された。


一條夫妻には、あたしも悠河もとても感謝している。

感謝してもしきれないほど。


これからきっと、ビジネスでもプライベートでも、有栖川家とあたしたちにとって心強い存在になることは間違いない。


特に美海さんは、『ママの先輩だから、いつでもあたしを頼ってね』と、今のあたしにとってこれ以上なく頼れる存在に既になってしまっている。



あれから2週間。

今日は産婦人科の定期検診の日。


あたしだけじゃなく、どうやら悠河も落ち着かないらしい。


「光姫、心細いならオレも一緒に……」


珍しく朝早起きをして、朝食の準備をしているあたしの身体にベッタリくっついている。