「…さあ、夕飯の支度をしなくっちゃ!」

気分を変えるように大きな声で言いながら、リイエンは立ち上がる。

(泣いても何も変わらない)

(嘆いても何も変わらない)

自分に言い聞かせるように、心の中で繰り返し呟いて表情を明るいものへと変える。

「レンバルト、何か食べたいものはあるかしら?」


背後のレンバルトを振り返って尋ねる。

「……いや、俺は…」

何か言いたげに言葉を濁すレンバルトに、リイエンは僅か首を傾げる。

「…もしかして、“物”は食べない?」