「…確かこの島は、マクダウェル氏が大統領に就任する以前に、短い期間住んでいた筈…彼はここで一人の女性と結婚し、子供を授かった。今でこそワシントンに住んでいるが、その子供にとっては、この島は故郷の筈だ」

…この人は何て鋭いんだろう。

入念な調査に基づいた的確な洞察力で、私の素性を言い当てるレイ。

「そしてこの島に生物兵器を持ち込んだ奴がアメリカに反感を持つテロリストだったりすれば、大統領の娘が頻繁に里帰りするこの島で、テロの一つも起こしてやろうと考える…」

「たったそれだけの為に!」

「そういう人種だ。テロリストって奴はな…」

レイは踵を返した。

「俺の任務は現時点で変更された。生物兵器の詳細を調査し、本部に報告後、君を保護して速やかにこの島を脱出する」