校長室にはカギがかかっていなかった。無用心だなーと思いながらも、エメラルドは静かに部屋の扉を開く。

「失礼しまーす」

校長室の中は真っ暗で、前が全く見えない。

「と、こんなときはパチッとな」

エメラルドが付けていた黒いゴーグルのスイッチを入れると、部屋の中がほんのりと明るく見える。彼女が付けているゴーグルは、暗視ゴーグルになっているのだ。

「えっと、確かこの金庫に入ってるんだよね」

エメラルドは腰のポーチから丸いガムを取り出すと、パクッと口にふくんだ。

「モグモグ…モグモグ…。ほんらもんはなー」

口の中のガムを、今度は金庫のカギ穴にグイグイ押し込む。するとガムはしっかりと固まって、エメラルドはすんなりと金庫を開けた。

中には、『明けのエメラルド』が入っていた。

「まったく、せっかく予告状出したのにこんなに簡単なんて…つまんないなー。そういえば、ルビーの秘策ってなんだったんだろう?」

と独り言をエメラルドが言ったその時、

「エメラルド!!現行犯逮捕だー!!」

どこからともなく流備が現れて、後ろからエメラルドを捕まえた。

ムニュ…

「むにゅ?」

その柔らかい感触に、流備はそれが何かを確かめるように、むにゅむにゅと手を動かした。

「あっ…だめ…」

そのたびにエメラルドが甘い声をもらす。

「そこは、ダメだってばルビー……」

暗い校長室で、流備はエメラルドの胸を揉んでいたのだー!!

「アンッもう…エロエロルビー…」

その言葉で流備はびっくりして、エメラルドから離れ慌てて弁解した。

「いや!ごめん。これはその…暗かったし、無我夢中というか…一心不乱に…」

中学生の青いさがか、なんだか言い訳までエロエロだった。二人の間には気まずい沈黙が流れた。



「私…帰るね……」

「あ…あぁ……」

「ルビーがこんな人だと思わなかった」

そういうとエメラルドは校長室を出ていった。

「…結構大きかったな」

そういって流備は手をもにゅもにゅと動かすのだった。





「って!まてコラー!!エメラルドー!!」