結論から言おう。門前払いを食った。
ホテルに戻り色々作戦を練ったわけだが、結局『なんかうまいことやって護衛に参加させてもらう』という結論しか出なかった。
で、バカ正直にウィリス上院議員サイドに申し入れたわけだが、案の定相手にもしてもらえなかった。
当たり前だが。
俺は無理だと言ったんだが、あかりのやつが『んなの、やってみなきゃわかんないぢゃん』とか言いやがり、勝手にウィリスのオフィスに電話を入れた。
例によってあのギャル語混じりの怪しげな英語だ。おまけに職業はBH。信用されるわけもねえ。
「てかマジ失礼感マックスぢゃね? せっかくタダで護衛してやろうって言ってんのに」
「向こうにしてみりゃ、いきなり怪しげな電話かけてきた身元不明の自称BHのギャルの方が、よっぽど失礼なやつなんだろうがな。
それに、議員や政府関係者の護衛は税金でまかなってる。本人からしてみりゃどのみち『タダ』だ」
ホテルの一室。あかりはライティングデスクの上に座り、ぶーぶー言いながら足をぶらぶらさせている。
ディルクは愛用のPSG-1をメンテしている。相手が相手なだけに、いつもよりさらに入念だ。
「ぢゃあ、これからどおすんのさー」
「CIAが情報握ってたってことは、ウィリスには護衛もしっかり付くだろう。俺たちゃやつらの外から見守るしかねえな」
「そんなんで王のやつパクれんの?」
「正直厳しいだろうな。向こうもプロだし。
議会が開かれるのは3日後。国連の方はそこからさらに2日後。つまりウィリスはこの3日の間に、デュケインは5日の間に狙われるだろ」
「つまり、この3日が勝負ってこと?」
「そうだ。3日以内にパクれなかった上に、むざむざウィリスを殺られちまったりしたら、チャンスはあと一回。最悪でも、デュケインの方はなんとかしなきゃな。無駄に死体が増えるぞ」
「で、具体的にはどうする?」
ライフルを組み終えたディルクが手を止めて聞いてきた。
「3日間ウィリスにへばりついて待ち構える。なるべく詳しくウィリスの予定を調べておいて、先回りしておくのが吉だな。
スナイパーがターゲットを狙うポイントってのは、だいたい決まってるもんなんだろ?」
ディルクに質問すると、
「ああ。だが相手が王クラスともなると、かなり難しいぞ。