逃げてるだけ、なんて分かってる






「……あ、」


屋上に行くと、また昨日の奴が居た。



ふわりふわり、と髪をなびかせて地面に座りながら外を見ている姿はやっぱり人間じゃなくてもっと儚い、生き物のようだった。



俺が声を漏らすと、こちらに振り向きあの瞳に俺を映す。



だけど、何も見なかったようにまた元の場所に視線を戻す。




……ずきっ


立ち上がろうとすると、足が痛んで顔をしかめた。