春の匂いが囁く4月。

袖がふんわりしてる、半袖の水色Yシャツ。

薄い紺のリボンにはピンクの刺繍。

ベージュのセーターベストと、リボンと同じ色のチェックのプリーツスカート。

新品のリュックに新品のローファー。

少し茶色の髪をなびかせて新しい家の中にも関わらず、鏡の前で勝手にファッションショー。

クルクル回って嬉しさにニヤけるあたし。


「澪、何やってるの?」


「え〜?」


お母さんの声も聞こえないくらいに、一人の世界に没頭中。


「…澪?」


「ね〜、見て。可愛いよね〜」


すぐ後ろにいるお母さんに、満面の笑顔のまま振り返る。


「な・に・が、可愛いのかしら?」


明らかに怒ってる態度のお母さんは、昔の癖でガンを飛ばしてる。

「あの…えっと…」


あたしは目を泳がせて少し後退りをする。


「いいから下に行きなさい!」