ところてんで一時の涼を得た後、店を出た。

暗号通りに右に曲がる。

「次は『男の道』をまっすぐ進むのよね」

「そのフレーズよく平然と言えるな」

達郎は感心した様子で言った。

「そりゃあたしだって変てこな言葉だって思うけどさ」

これも仕事なんだから、いちいち笑ってられるかっての。

「それにしても『男の道』って何なのかしら」

なんかものすごく体育会系な感じがする。

ゴリゴリの男子集団が、汗をかきかきランニングという感じ。

野いちごのメインユーザーとは真逆のイメージだわね。

さっき食べたところてんのサッパリ感が消えてしまうような事態は御免こうむりたい。

「『男の道』はいま歩いてるこの道だ」

達郎がそう言ったので、あたりを見回してみた。

しかし単なる住宅街。

『男の道』を連想させるものはない。

「なんでこの道が『男の道』になるかという理由だが…」

達郎が声をひそめた。

「覚悟しとけよ、レミ」

な、なに…?