クリーニング店から出たソウに着いて行くうちに、だんだんと人通りが多くなってきた。

まどかさんのお店は街中から少し離れた場所にあったが、また街中へと戻ってきたようだ。

クリーニング店の次はどこに向かっているのだろうか。

結局一円も払っていない私としては、助けてもらってばかりで申し訳ない気持ちである。

……私が奢りますよと言って、ランチにでも誘ってみようかな。

あつし君と待ち合わせをしたのは11時。

会って間もなく捨てられ、ソウに助けられ、とかなんとかしているうちに、もう2時間も経過している。

気持ちが落ち込んでいたときは空腹など感じる暇もなかったが、心も顔もすっきりすると、途端に気持ちが動いた。

要するに私はお腹が空きました……。

しかしこんな男前を、果たして平凡女の私が誘っていいものだろうか。

まどかさんも、ソウと私が二人でランチなんて嫌かもしれない。

そしてまどかさんのことを思い出して、なんとなく気持ちが落ち込む私は……最低だ。

自分勝手な感情がぐるぐると渦巻いている。

自己嫌悪から、私が小さく溜息をついた時だった。

「連れ回してごめんな? ほら、入って。暑かっただろ?」

 いつの間にか俯いていた私は、ソウの声に慌てて顔を上げる。

「……えっ?」

 目に映るのはさまざまなメンズファッション。

黒い柱を挟んで大きく広がったガラス張りのディスプレイには、シンプルな服に飾られたマネキンもいれば、ごちゃごちゃと賑やかな服に彩られたマネキンも立っている。