自分に自信を持てと、簡単に言う人がいるけれど、己のすべてを否定されたとき、彼らは自信を持っていられるのだろうか。

偉そうに言う彼らはきっと、どん底の思いを味わったことがないに違いない。

それとも、どん底から這い上がって、ようやく自信が持てる自分を手に入れた時、今度は自分が他人に向かって自信を持てと言い放つ人間になってしまうのだろうか。

 眩い光の中で、私はついそんなことを考え、笑ってしまった。

離れた場所から私を見守っている彼も、私がどうでもいい内容に思いを馳せて笑ったのだと気づいたようだ。

やんちゃな子供を見るような、しかたないなぁという微笑み混じりの眼差しを向けてきた。

――わかってるよ、大丈夫。集中するから。私が今日という日を成功へと導いてあげる。今の私には、貴方にもらった自信があるもの。だから私を見ていてね。

背筋を伸ばして、私は光の照らす道を歩き出した。

彼の視線を感じる。

それだけでこんなにも幸せな気持ちに包まれるなんて、かつての私には想像すらできなかっただろう。

自信を失い、自分自身すら見失ってしまったあの日。

ズタズタに引き裂かれた心を抱えていた私は、彼に見初められたのだ。

人生で最も消えたいと思ったあの日に。

どん底の思いに沈んでいた、あの瞬間に――。





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