──…


本当に莱ちゃんの強さには驚いた。


記憶が戻って大好きな人がいない世界って悲しくて辛いものだと思う。


それでも乗り越えてるのは、多分きっと、記憶がない間に支えてくれた人がいるからだと思う。


愛されることが多分一番の心の薬なんだろうな。



優羽くんの家からの帰り道。


駅に着いて、それから家まで送ってくれている。


外は日が沈み始めている、空は少し薄暗い。


2人の影が長く伸びている、右がわたし、左がタツ。


あと5分ほど歩いたら家に着く。



「なあ、美羽」


タツの足が止まる。


自然とわたしの足も止まる。


「莱のこと羨ましいって思った?愛されてる人がそばにいて、乗り越えてる姿見て」