プルルルルル。

「おう・・。どうした」

レイヤが電話に出る。

寝ぼけた声をしている。

どうやら寝ていたみたいだ。

「すいません。レイヤさん、マジ俺やばいっす。今日客呼べなそうで・・」

俺は悪いと思いつつも、危機迫っていたのでいきなり声を荒げて言う。

「ま、まあ落ち着け。女に営業かけたん?」

「はい。でもみんな金ないって言って」

「そうか。リュージ、女が金がなかったらな、借金させろ」

「えっサラ金とかに連れてくんすか?」

「そうだ。それかカード持ってる奴いたらカードを使わせろ。限度額っていうのがあってな何十万も使わすこともできる。ただ結局女がその後払えなきゃ、カード破産だけどな。とにかくカードなら金を使ってるっていう現実感がないから女は騙しやすいぞ」

「は、はい」

俺はあまりの犯罪めいた手口に、あまりの極悪な手段に、動揺したが考えている時間はもなかった。

「リュージ、分かってると思うけどサラ金とかに女を無理矢理連れてって金借りさすのは犯罪だ。リュージはサラ金に一緒に行くな。あとは電話か直接女と会って言うんだ。
メールで金借りて来いとかは絶対書くな。それは女が訴えたりしたら、犯罪の重大な証拠になる。」

「わ、わかりました」」

俺はとまどいつつも返事をしていた。

人間なんてものはどんなに綺麗事を言っていようが、土壇場になれば平気で自分だけしか考えなくなるのだろう。

それを実感していた。

「とにかく女を店に何が何でも連れてこい。カードを持ってる女を特にだ。オゴリとかウソついてもいい。どうしようもなくなったら、ヘルプが助けるし、営業中でもいいから金借りさせたりとかあらゆる手を使え。俺も協力するから」

「はい!」

「客にウソついてでも絶対呼べよ!じゃまたな」

「ありがとうございます!」

電話が終わった。

俺は汚れていく自分を止められやしなかった。

俺が大事。

俺のことしか考えていなかった。