地元の高校に進学した一年の夏。 厚手のブレザーから涼やかなセーラーに衣更えした頃。 次第に高校生になったという実感も湧きはじめ、新しく出来た友達と毎日遊び回っていた。 「おはよう、幸(ユキ)。ご飯食べなさい」 「いらない、遅刻しちゃう」 その頃のあたしの朝は遅かった。 朝はギリギリに起きて、家を出るまでの時間は髪のセットと覚えたてのメイクに費やす。 悠長に朝食なんか食べる時間なんてない。