「荷物は全部持った?忘れ物はない?」

おばさんが私が使っていた部屋を見渡しながら言う。
これじゃ、まるで、今から合宿に行く子供みたい。

「大丈夫です。昨日の夜、何度も確認したんで。」

苦笑しながら答える私に、おばさんは我に返ったみたいで、照れた笑みを浮かべた。

「ごめんね、つい。美優ちゃんは晶とは違ってしっかりしてるから。」

「おーい、準備終わったか?」

玄関からのおじさんの声に、私は荷物を抱えなおした。
おばさんはもう一度部屋の中をチェックしている。

外に出ると、おじさんはすでに軽トラに乗り込んでいた。
私も急いで乗り込もうと、荷台に荷物を載せる。

「ちょっと待って!」

今度はおばあちゃんが飛び出してきて、私に袋を差し出した。

「昨日とれた野菜だよ。お土産に持って帰って。」

「いいんですか?ありがとうございます!」

それから、と言っておばあちゃんは紙とペンを差し出した。

「新米、とれたら送るからね。」

私は自宅の住所を書いた紙をおばあちゃんに渡した。