いよいよ、今日はここでの生活最終日。
今日さえ乗り切れば、明日は家に帰れるんだ。

どんなに山野家のみんなが優しくても、やっぱり……家に帰りたい。

でも、やり残しがないように、しっかりやらないと農作業。
と思ってたのに……。

おばさんに突然告げられたのは、お昼ご飯のときだった。

「美優ちゃん、お昼からは畑に来なくていいからね?」

「……えっ?」

どうして?
やっと仕事にも慣れたのに。
水やりも、肥料まきも、草抜きも、やっとマトモにできるようになったのに。

「あっ、何?悪い意味じゃなくて。」

泣きそうになった私を見て、おばさんが焦る。

「美優ちゃん、ウチに来てからずっと仕事しっぱなしでしょ?晶なんて、ロクに手伝いもしないのに。」

「子供は遊ぶのが仕事だろ?」

うるさい、と晶を小突いて、おばさんは続けた。

「だからね、今日の午後はここでの暮らしを満喫してほしいの。田んぼや畑以外にも面白いところ沢山あるから。」