「もうーっ、何でもっと早く起こしてくれなかったのよ!」

襖の外にいる晶に向かって怒鳴りながら、私は超特急で着替えていた。

「オレは何度も起こしたよ!美優が起きないのがいけないんだろ?」

早くしろー、と私を急かしながらも、晶はしっかり反撃する。

「私は、低血圧なの!それに、女の子は準備に時間がかかるのよ!」

半袖のTシャツにジーンズだけど、絶対に手は抜かない。
スニーカーだって、ちゃんとブランド物だし、自慢のサラサラストレートヘアは頭のてっぺんで1つにおだんご。
オシャレやめちゃったら、女の子失格でしょ?

「まだかよーっ!早くしろよな、オレが怒られるんだぞ!」

晶のイライラした声を聞きながら、私は日焼け止めを露出した部分に叩き込む。

「よしっ、カンペキ!」

全身、目の届く範囲をザッとチェックしてスニーカーを持つと襖を開けた。