「えっ、どうしてですかっ!」

私の声が研究室内に響き渡り、先輩たちが手を止めて私を見ている。

「いやー、出せないものは出せないんだよね……。」

先生は困った顔で私を見て、苦笑いをしている。

「だって、試験の点数はトップだったじゃないですか!それなのに単位が出ないって、どういうことですか?」

そうだよ。私、98点だったじゃない。単位が出せない理由がある?

「そう言われても、ねぇ。君、15回の講義のうち8回しか出てないだろう。大学の決まりで、5回以上欠席した学生には単位はあげられないんだよ。」

「そんな、おかしいですよ。講義に出てなくても、ちゃんと勉強はできてますよね。じゃあ、単位出してもいいんじゃないですか?」

相変わらず先輩たちの視線を背中に感じながら、私は先生に一生懸命訴えた。

「僕も、出してあげたいんだけどねぇ、単位。でも、決まりだから……。」

「……どうしても、ダメですか?」

私の質問に先生が静かに頷くのを見て、私は肩をがっくりと落とした。

「わかりました……ありがとうございました。」

先生に背を向けると、研究室を出ようとドアに向かった。背中に哀愁を漂わせて。
さぁ、先生。私のこの背中を見て何とも思わない?可哀そうじゃない?救いの手を差し伸べてくれないの?