「……ちゃん………」



「……ん、お兄ちゃん……」





「お兄ちゃん!遅刻するよ!」




パチッ
目を開けると怒ったような蕾の顔



あれ?


え?えっと…………


「もう7時15分だよ?」



「えぇっっ」


ガバァッと
布団を剥いで起き上がる



「お兄ちゃんが寝坊なんて初めて見た」


呆れたように蕾は呟いて
制服のスカートひるがえして
部屋を出て行った



ぼくはベッドに座り呆然と頭をかいた



眠ってた一晩中


夢も見ないで



何年ぶりだろう…………






蕾を抱きしめたら安心して
気持ち良くて……………



「信じられない」



これじゃあ まるで ぼくは子供だ



妹に甘える最低の兄だ



――――――――でも



腕には蕾の身体の柔らかさが残って



胸が熱くなる―――――――