「なんだとぉー!?」

 爽やかな朝に大声を張り上げる男。ライカ・パーシェルはベリルから聞いた言葉に抗議した。

 ここはオーストラリア連邦ノーザンテリトリー準州の首府であるダーウィンにあるベリルの自宅。オーストラリア大陸北側のチモール海沿いに位置する街だ。

「なんで俺は留守番なんだよ!」

 リビングで優雅に紅茶を傾けているベリルを見下ろし、全身で怒っている事を表す。

「今回の仕事は少々、危険だ。お前に構っている暇はなさそうなのでね」

 真横に立っているライカを見上げてしれっと言い放った。

「なんで危険だって解るんだよ。まだ詳しい内容は聞いて無いんだろ」

「だからだよ」
「?」