「宇津木 陸[ウツギ リク]です。

今日から…よろしく…お願いします…」

────リクが私の通う高校に
転校してきたのは、4月の中旬。

あれから2日後の事だった…

そう、
あの神秘的で…大きな月を見た
あの日から…2日後。
彼は私の前に現れた。


2、3週間前までは桜が
咲き乱れていたのに、
葉桜になっている今日この頃。



教室はざわつき、
左右、前後から「可愛い…」
というため息混じりの声。

私は突然の出来事に言葉が出なくて。

取り敢えず、
目が合わないように俯く…


「心美っ、心美!」

私の前に座っているヒカリが後ろに振り返り、

私の腕を揺さぶる。



───もうこんな時に何なのよ…