「ちょっとぉ!!
何すんのよ!!」

痛む頬を両手で押さえて、反論した。

早苗の瞳は怒りから、だんだんと悲しい色を帯びてきて、震える声でつぶやいた。

「グーじゃなかっただけ、良かったと思いなさいよ」

と。

「何、グーで殴ろうとしてたわけ!?」

『サイテー』

吐き捨てるように、そう言っていた。

私はとことん、早苗を傷つけたいと思っている。

そんな自分が、一番最低なんだってことも、頭では理解しながら。