「悠里が家にいてくれたら、渚も楽になるだろ?」

私から、たったひとつの居場所を奪うつもり!?

「じゃあお兄ちゃんは、私が家事をやらなくてもいいようにするために、しかたなく悠里さんと結婚するの?」

ひどい言葉は、一度口から出てしまうと止まらなくなる。

「なぎさ!!」

お兄ちゃんが顔を真っ赤にして、眉を吊り上げて、私を睨みつけながら怒鳴り声を上げる。

温厚なイメージのお兄ちゃんに怒鳴られると、いつも怒っている人より迫力があって、怖い。

だけど、私も負けてなんかいられなかった。