「妃奈、大丈夫?」


いつもより優しいお姉ちゃん。


それもそのはずだ。


「大丈夫だよ。
今日はしっかりしなきゃね!」


心配そうなお姉ちゃんを他所に出かける支度をした。


そう今日は


未来が旅立つ日


「みやびちゃん、だっけ?
まだ、目を覚ましていないんでしょ?」


あたしは支度している手を止めた。


あの日みやびちゃんに危害を加えた男は捕まった。


だけど、肝心のみやびちゃんは、まだ目を覚ましていない。


目を閉じたまま動ずにいるらしく、呼吸はちゃんとしているが、回りの人々は不安に駆られた毎日を送っているだとか。


そうはいうものの、あの日以来みやびちゃんの所を訪ねていないあたしには、伝聞としての情報しか入らないが。