「人間の脳内活動は電流なんだよ…」
 博士はうな垂れます。
 そうです、我々はここで気づきます。人間の脳内活動が電流である事を! だから、だからでしょう―――
 「―――だから雷を司るお前には…悲鳴が“聞えてしまう”し、惨状が“見えてしまう”のだ…!」


 続けて、博士は少年に忠告します。
 「指輪を外せ。指輪を外すんだ、竜一!」

 それしか方法は無いでしょう。
 
 “指輪は能力の補助装置”に過ぎず、竜は既に彼の一部ですから外すだけで一切が解決する訳ではありません。しかし彼を『ドラグーン』に変身させている、『雷王の指輪』を外せば、少しは悲劇を目撃しなくて済むのです。

 ………

 長い長い沈黙が続きました。
 雨音だけが響いています…。
 いえ…それは、雨音ではなかったのかもしれません。

 15歳の少年の中で、“何かが欠け落ちる音”だったのかもしれません。

 「……いや…ダメだよ」
 竜一と呼ばれた少年は微笑み、そして……
 首を振りました。