次の週から
西条はギターケースを担いで登校。
ちょっとした話題になった。

そして放課後。
部室に向かった俺の目に
窓の外を見てたそがれてる山下先輩。


「うぃーす、どうしたんすか?先輩」


と何気なく声をかけると
俺の顔を見て一瞬何か言いたそうにして
でも「いや」と小さな声で呟き
どこかに行ってしまった。

……は??


「先輩どうしちゃった訳?」


心当たりがなくまわりに聞いてみると
つまらなそうに呟いたケンゴ。


「新入部員
思ったより入らなかったらしいで」

「ふーん、そうなんだ。
でも俺何かしたっけ?」


すると今度は顔を引き攣らせ
ケンゴがカズマをチラ見。

それに対し
「俺のことは気にすんな」とカズマ。


はぁ?マジわかんねえ。


「先輩が期待してた女の新入部員
まったく入らんかったんやて
お前のせいで。

って正確にはお前と西条のせいで」

「俺と西条?
ますますわかんねえ」


要領を得ない会話に少しイラついて
眉間にシワを寄せると
ケンゴがため息をついて切り出す。


「先週体験入部に
偉い数の新入生来てたやろ?
いかにも楽器やってませんって風の女達」

「ああ」

「あいつらの目当てはぶっちゃけお前。
なんやお前顔だけはめちゃめちゃいいし
その軽い性格とかも妙に女受けするし。
まあ、モテモテや。
で、そんなお前に少しでも近づきたくて
軽音部なんてマイナーな部に
彼女等は来てたわけや。

まあ実際はお前
あんまり身近なとこには手ださへんから
彼女等見当違いもいいとこなんやけどな?
お前わざとスルーしてるやろ
近いと面倒になった時大変やし。
……って改めて言葉にしたら
リョウホンマ最低男やな」


ほんとケンゴには何でもお見通し。
しかもついでに毒吐くなよ。


「そんな中先週の金曜日や。
部活後行ったラーメン屋
何人かの新入生も交じってたやろ?
んでお前と西条のツーショット見て
彼女らへこんで帰っていったわ」