「苺ちゃん、昨日はありがとう。社長さんが凄く苺ちゃんを褒めてた」



翌日会社に行くと、武安おじさんが嬉しそうに言った。



おじさんは、多分あのハゲオヤジの本性を知らないのだろう。



きっと、今まであのハゲオヤジと会っていた、社員さんも、こんな目に……。



「いえ、だけど、アタシにはああいう高級なお店は、身に余ります」



「ハハハ!そっか。施設育ちだしな。次はまた別の奴に行ってもらうよ」



おじさんの言葉にズキっと胸が痛む。



アタシはあんなことされて傷付くのは自分だけだ。


でも、他の社員の人は、家族恋人が知ったら…。だけど、この小さな会社にはあの得意先との取引は大事。



だから、アタシは真実を語ることは出来なかった。