部屋で、灰色のTシャツと下着とスエットの下を引っ張り出しそれを着る。



…………苺に、一番特別な人に、『あの事』を話すことは、果たして正しいのだろうか?



『あの事』を話すことで、アイツは俺に気を遣い、腫れ物のように扱うんじゃないだろうか?



それが嫌だから、俺は隠し、苺と、微妙な距離を取って来たのに。



アイツは、いつの間にか、俺の心に楽々と入り込んで、カイロのように温かさを分け与えてくれていた。



苺との幸せを噛み締める度に、痛む筈のない右肩が、ズキンと、疼き、邪魔をした。



歯形だけになってまで、俺の幸せの邪魔をするのか、アイツは……。



親父、地獄まで引きずり込むって約束だっただろ?