「けほっ。喉痛い」


「大丈夫?里穂」


机に顔の左半分だけつけてダレていると、綾香の心配そうな顔がぬっと私の前に現れた。


「うん。修斗のせいだもん」


「はぁ?何が俺のせいだって?」


ちょっとイラっとした声が、私の後ろの席から聞こえた。


選手権が終わっても特別休みがもらえる訳でもなく、次の日から普通に学校。


「修斗が寒い中試合するからいけないんだよ」


「意味不明なこと言ってんなよ」


「だって~」


寒い中選手権の応援をしていたからか、終わってみれば喉に痛みを感じた。


「たく、だからちゃんと厚着して応援してろよって言ったじゃん」


カタッと音がして、修斗が椅子を引いたのが分かる。


「センターまであと4日だぞ。熱出たらどうすんだよ。ほら」


唇に何かを当てられて反射的に口を開けたら、コロッと何かが入ってきた。