あたしはごくごく普通の女の子だった 近所でも有名な「仲の良い家族」だった。 でも、そんなの表面だけで、 よく考えれば、親と出かけたことも 一緒にご飯を食べたことも 抱きしめられたことも 遊んだ記憶すらないほど 薄っぺらい家族だったのかもしれない。 家庭の事など一切気にしない父親。 夫のことしか気にしない母親。 その間に生まれた期待も何もない娘。 ただ、ただそれだけだった。