ピピピピピピピ ピッ。

布団の横でうるさく鳴る目覚まし時計を止める。



「はあああああ――」


行きたくないなああ。

学校に行くのがこんな憂鬱になるなんて高校に入っては初めてだ。


バンッ――。



「ちょっと椎菜!アンタ早く起きなさいよ?」

「あ、お姉ちゃん……」


勢いよく部屋のドアが開いたと思ったらお姉ちゃんが入ってきた。

あたしは2DKのアパートにお姉ちゃんと住んでいる。



高校入学と共に、地元から3時間はかかるであろう電車を乗り継いで転がりこんできたのだ。

どうしても……誰もあたしを知らない高校に来たかったから……。



「わたしそろそろ出るよ?」


鏡を見ながら最後のお化粧チェックをしているお姉ちゃん。

その唇には、綺麗な真っ赤なルージュが光る。