今日はここまでにしようということで、それぞれ部屋へと戻っていった。そらはベッドに大の字で寝そべった。

「おい、洋服くらい着替えたらどうなんだ?」

はずされることなく、そらの首からぶら下がったままのシークが、呆れた口調で言った。そらは面倒くさそうに、はいはい、と言うと、服を脱ぎだした。いつもは、部屋に戻ると、まずはすぐにシークを首からはずし、机の上に置いていた。その後、食事の準備をしたり、部屋着に着替えたりと、用事をしているのだが、今日はまだ外していなかった。

「お、おい!先に俺をはずせって!」

慌てるシークの声に、そらは首を傾けた。特に誰かが見ているわけじゃぁない。それに、すでに着替えを始めているのだ。シークをいちいちはずすのは面倒だ。そう思っていたので、ぎゃーぎゃーと騒ぐシークを無視して、着替えを終わらせることにした。

そらは冷蔵庫の中をごそごそと漁る。

「…今日はなんにするんだ?」

シークがぶっきらぼうに聞いてくる。

「何怒ってんの?」

理由がわからないといった表情で、呆れたように返すそら。シークのため息が聞こえてきた。

「まさか、まださっきのこと」

はっとして言いかけるそらの声を遮って、シークが怒りまじりに言う。

「お前はもう少し、恥じらいというものをだな!」

「あーもう、なんでそんなに怒るの?」

シークに言われて、そらは首を傾げた。シークを身に着けたまま着替えただけだ。なぜそこまで怒られるのかがわからない。

そらは、冷蔵庫の中からミルクを取り出し、コップに入れることもせず、そのままごくりと一口飲んだ。