(次はアイテム生成学か)

シークがそらに話しかけてきた。シークの希望もあり、学校に行くときは、ネックレスになったシークを、いつも身に付けている。
そらはそうだよ、と答えた。

「あ、そら!一緒に行こうぜ」

教科書とノートを持って教室を出たところで、うみに声をかけられたので、うん、と頷いた。

「そらってさ、実技はほんっとに苦手だよな〜」

前の時間の実技授業を思い出しながら、うみが言う。そらは苦笑いを浮かべた。

「正直、なんで入学できたのか、しかもヴァルホルに入寮できたのか。すっごい不思議なのよね」

うみも苦笑いした。

「ま、あの実技をみてりゃぁ誰だって思うわな」

テレポに始まり、ファイアボールにウォーターウォールといった、初歩中の初歩の攻撃・防御魔法などもまったく使えない。

クラスどころか、学校中から注目の的になっていた。

入学、入寮には、学校の中枢を担う魔法システムが、最適な人物を抽出することになっており、これには、人的な力を加えることは一切できない。なので、不正はできないと周りはわかっているが、それでも、なぜ、そらが?という、不満の声がちらほらとあがりはじめていた。

(だから、俺が手助けしてやるって言ったのに)

シークに言われて、そらは首を横にふった。

(ダメだよ。そんなんじゃ、私の力にならないもん)

きっぱり断ると、シークは軽く揺れた。