その日、教室はキラとソラの話題で持ちきりだった。


「キラ、大丈夫かなぁ」

「ねえ美夕、キラが休んでるのは掲示板のことと関係あるの?」

クラスメイトの心配そうな声も、今のあたしには空々しく聞こえるだけで。


もう、誰も信じられなかった。



──そして翌日の朝には、バス停からソラの姿まで消えてしまった。



それも前日の夜、「明日は学校に行けない」っていう短いメールで知らされただけ。

詳しい話を聞きたくて折り返し電話をかけたけれど、ソラの携帯は電源が切られていた。

試しにキラにも電話したけれど、やっぱり同じ結果で。



あたしは久しぶりに、元の定位置である入り口付近に立つと、冷たい手すりを掴んでバスに揺られた。

1人で通学するなんて、久しぶりだ。

今日も後ろの座席から笑い声が聞こえてきたけれど、それでも昨日ほど気にはならなくて。


キラもソラもいなくて寂しいはずなのに。

……だけど、どこかでホッとしている自分がいた。