──この感覚、なんなんだろう?

──次々に起きる出来事に、感情が追いつかない。


「みんなにバレちゃった……」

これからのことを考えれば、決して落ち着いてなんていられないんだけれど。


間違いなく、あたしはホッとしていた。

もう、双子の秘密を1人で抱え込まなくていいんだって、

そう思うと体中の力が抜けてしまって。



だけど、それはどこか寂しくもあった。

だって、これであたしは双子にとって「特別な存在」ではなくなったんだから──


頭上の教室から、ガタガタって一斉に椅子が動く音が聞こえてきた。

授業の始まりの挨拶だ。

……いつの間に本鈴が鳴ったんだろう。


あたしはゆっくりと目を開けると、目の前に広がる校庭を眺めた。

この時間は体育の授業もなく、グラウンドには誰もいない。


だだっ広くて乾ききったグラウンドに強い風が吹きつけると、そのたびに砂埃がふわっと舞い上がった。


風に抵抗できずに踊らされ続ける砂埃。

それはまるで自分の姿のようだった。