「……そろそろ2人が帰ってくるよ。庭で、懐中電灯の明りが揺れてる」



そう言ってキラが食洗機のスイッチを押すと、ピッという音ともにお皿の洗浄が始まる。

水が勢いよく庫内に噴出す音と、お皿同士がぶつかる音。

あたしたちはしばらく黙ってその音を聞いていた。



あたしは、すっかり力尽きていた。


──だけど。


あたしは、どうしても。

どうしても、言わずにはいられなかった。


自分の気持ちを、もうこれ以上、キラに黙っていたくなかったんだ──。



「キラ、お願いだから、聞いて。……一度だけでいいから。聞くだけでいいから」

あたしは、キラの顔を見上げて続けた。

「あたしね、もう自分にウソはつきたくないんだ。……あたし、それでもやっぱり、ソラのことが」



そこまで言った途端。

キラの冷たく、険しい声がキッチンに響き渡った。


「聞かないよ!」