それから約1時間。

あたしたちを乗せた列車は、山間の終着駅に到着した。


駅のホームに降り立つと、あたしとキラは並んで大きく背伸びをする。

「空気がおいしいね!」

キラは、あたしの隣で、気持ちよさそうに何度も深呼吸をした。


……電車の中からずっとキラの様子を伺ってきたけれど、何の変化もない。

どうやらあたしとソラの会話は聞こえていなかったみたいだ。

あの時、キラが寝ぼけていてくれて本当に良かった……。


そう思っての安堵のため息なのか深呼吸なのか、自分でもよくわからなかったけれど、

あたしも、隣のキラに負けずに、

「はーぁっ」

と思いきり空気を吸い込んで、青く澄んだ空を見上げた。