あたしたちが席に戻ると、

「おかえり」

優しい声で、穏やかな顔で、ソラはキラを迎えた。


──先輩、もしかしたらあたしたちがいない間に、ソラになにか言ってくれたのかな?

気のせいかも知れないけれど、さっきに比べてソラの表情が柔らかくなったような気がする。


「ただいまっ!」

キラは、嬉しそうに、ソラの隣に寄り添うように座った。

「あれ? ジュースは?」

「それが、私も美夕もお財布持ってなかったんだー」

そんな声は弾んでいて。


……キラは、本当にソラのことが好きなんだ。

ソラを愛おしそうに見つめるキラの姿に、今更だけどあたしはそれを実感してしまった。


そして。

「じゃあ、俺が買ってくるよ」

あたしの目の前には、そう言ってくれる優しい先輩がいた。

「美夕ちゃんは、何がいい?」

「ううん、あたしは要らない……」

あたしは、立ち上がろうとする先輩の腕をぎゅっと掴んで、その動きを止めた。

「だから、先輩も座って」


もともと、そんなに喉が渇いていたわけじゃない。

ただ、さっきは、キラをつれてあの場から逃げ出したかっただけで……