翌日の朝。
バス停には、キラの悲鳴にも似た奇声が響き渡っていた。


「美夕、羨ましすぎるーっ!」

「……うん」


あたしが昨日の先輩とのやりとりを話すと、キラはまるで自分のことのように嬉しそうに叫んだ。


「いいなぁーっ!ねぇソラ、ちゃんと話聞いてた?」


キラが隣で興味なさそうによそを向いているソラに話を振ると、

「……聞いてるよ」

ソラはぶっきらぼうに答えた。



……少しだけ、ドキッとするあたし。


でも、それはほんの少しだけ。



あたしは昨日、先輩の背中にしがみついて、

その温もりを感じながら、決めたんだ。


──もう、ソラのことで苦しむのはやめにするんだ!って。