バスを降りると、雨はすっかり上がっていた。


ソラは薄暗がりの中、バス停の時刻表に顔を近づけて

「つぎのバス、1時間以上後なんだな」

って呟いた。


1時間……。

あたしにとっては気が遠くなりそうな時間だった。

こんな息苦しい状態でそんなに長い間、待っていられないよ……。


それに、さっきの苑ちゃんの様子も気になった。

苑ちゃんはあたしと先輩のことを知っている。

あたしが直接話したわけではないけれど、

先輩いわく、

苑ちゃんは先輩の相手があたしだってことを知って、喜んでくれたらしい。


……苑ちゃんは、あたしとソラが手をつないでいたのを、しっかり見ていた。


先輩にはもう、このことが伝わっちゃったんだろうか……。



「あたし、歩いて帰るから」



とにかく、この場を立ち去りたくて。


あたしはソラとバス停に背中を向けて歩き始めた。