翌日―


鐘の音がなるより早く目覚め、新しいシャツに袖を通すと、着なれた制服に身を包みました。


ホテル側には早朝であったが、一応の連絡を入れ、今日からまた仕事に行くことを告げました。




カ~ン リン カ~ン コン



『こんにちは。』


―鐘が鳴り響く中、ベルはいつもと変わらぬ優しい笑顔をお客様に向けていました。


「おお!ベル
風邪だって聞いたが大丈夫なのか?」


いつもと同じように、ホテルの朝食を食べに来たんでしょう。
ご老人が声を掛けてきました。


『はい。もうすっかり!
ご心配おかけしてすみません…。』


「そうか!そうか!
それは良かった。」


ご老人は上機嫌で、ベルの開けたドアから、ホテル内へと足を踏み入れました。


その後も、相変わらずの忙しさの中、ベルはドアを開け続けました。



「ベル!」


名前を呼ばれ振り向くと、階段下にはお嬢様が居ました。


『お嬢様…おはようございます。』


今日はお嬢様お一人のようでした。
笑顔で近づいてくるお嬢様は、またふふっと笑い
「昨日はどうして居なかったの?」
そう心配そうに聞いてきました。