翌日。


あたしは初めて学校を休んだ。


真由に合わせる顔がない。


こんな形での喧嘩は今までに経験した事がなくて、考えても考えても答えなんて出てこなくて、結局は自分の気持ちに負けてしまった。


これは、裏切りになるのかな……。


真由にきちんと話せば、理解してもらえるんだって、わかる。


だけど、先輩に話した相談の種が蔵島恭平だって知ったら、確実に真由は嫌な顔をする。


だから、言えないんだ。


蔵島恭平は、みんなが思ってるようなヤンキーじゃないし、陰で薬をやってるような人じゃない。


あたしはそれを知っているから、今、真由に蔵島恭平の事を拒否されたら、かなり傷つくと思う。


あたしは、どうしたらいい?


お願い、誰か教えて。




何かに助けを求めたくて、フラフラと家を出た。


目的地もなくただ歩いて。


すごく天気がいいのに、気持ちだけが無情に沈んで。


涙で腫れた目が、あたしの視界を狭める。


ぼーっと歩いて。


下ばかり見て歩いて。


胸が苦しくて、息がしづらくて。


肩がどっしりと重たかった。


どのくらい、歩いたんだろう。


どこに向かっていたのかもわからない。


足が向かう方向にただ歩くだけで、あたしの意識はどこか遠くに行っていた。


ボロボロなあたしの耳に、突然風に乗って来た音色。


何もかも優しく包んでくれる音色が、あたしを静かに導いた。


気が付くと、もう見慣れた真っ白な教会が目の前にあった。