俺は走る。

風の如く。

走り去る俺を皆が振り向く。

『ちょっと、月影!今どこ!?』

月影は腕の機械を操作して火螺とマイクを繋げる。

「悪い、マックと遊んでたら遅刻した」
『馬鹿!もう突撃が始まるよ!』

前を見ると信号が赤で皆止まっていた。
月影は止まる気配も無く信号に差し掛かると車の上を飛び越える。
WCCで訓練した一年で得た一番大きいものはこの身体能力だ。

人間は通常三割の力で生活している。
残りの七割は本来使われない力だ。
だが月影達は化学治療で常に十割の力を出せるようになっていた。
それは相手も同じでテロリストとの戦いは常人とは思えない戦いが起こる。

『竜崎だ。作戦が始まったぞ』
「後一分だ!」

月影が道をそれて林に入る。
それから走ること一分。
洋館にたどり着いた。

「悪い。遅刻した」
「遅刻だよ。折角の初仕事なのに」

火螺が指を突き刺す。