長く伸ばして、先をくるりと巻いた黒髪。

若い女の子なら誰でもそうであるような、

没個性的な流行服を着て。
 
大荷物を抱えて歩く私は、

もしかしたら家出少女に見えるかもしれない。

だけど、私はちゃんとした大学生だし、

全然一人で暮らしてもおかしい年齢じゃない。
 
ただし、その物件探しと引っ越しが、

大学二年の秋になんて微妙な季節になってしまったのは、

ひとえに母の所為だ。