「ごめんね、康平」

北川南都美

2年A組英語クラス

炭酸ジュースが苦手な俺の彼女は

何をトチ狂ったか

まだ2年生だというのに、海外留学を決めて旅立つ。


飛び先はイギリス。


留学期間は語学学校を含めて3年間。


南都美のTOEICの点数は、目玉飛び出るくらいだったからそりゃ留学くらい簡単だろう。

「康平と一緒にいれて、すごい楽しかった」

「南都美……」

かくして俺と南都美は、2年のはじめから付き合いはじめて、この秋にて終わる。

俺はおもいっきり南都美を抱きしめて、そして別れた。 

「んー……1…3…5………」

前の席で黒沢が指を折る。

「なんだ、素数か?」

「違うよ、お前が何ヶ月も同じ女と"本命"として付き合い続けたのは、最長記録なんじゃないか?」

「そーだよ、南都美とは俺のお付き合い歴最長だよ。もっと長く付き合えたはずだけどな。国境が、国境がぁあああああ」

自分でも暑苦しいと思うほど頭を抱えて叫ぶ。

秋だし気合いを入れて染めた、アッシュブラウンの髪を掻きむしって息を乱した。