数十分後。


「お待たせー」


悠生さんが一冊の古い本を持って戻って来た。


「これに、村の言い伝えが載ってんだ」



あたし達は二人で覗きこむように本を読み始めた。



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1917年。


ここ、輝末村にはたいそう仲の良い夫婦がいた。

彼らは共に助け合い、どんな困難も乗り越えていた。