拓海を愛するキモチは、変わるワケが無い。


同時に未来を阻むコトなど、とても考えられない。



だからこそ、貴方には何も告げないで戦うの――



社長室を退出すると、足早にロビーを通り抜けた。


受付嬢の冷ややかな視線と陰口なんて、本当にどうでも良くて。


向かう先のコトだけに、脳内は占領されていたの・・・






「あの…、佐々木です」


「ハハッ、分かってるよ!」

タクシーに乗り込み、あるヒトに電話を掛けた。


「っ・・・」

一声聞いただけで、もう怖気づいているけれど。




優しく拭ってくれる手を、自ら手放したのは私。


陰で守ってくれた貴方に、別離を告げたのも私。


虚無となったからこそ、泣いてなどいられナイ。





「あの…、お会いするお時間はございませんか?」

意を決して、用件を切り出すコトが出来た。


「フッ…、蘭、それは愚問だろう?

俺はずっと、君からの連絡を待っていたのに」

私を重石をかけるかのような、嘲笑した口ぶり。


「…っ、ありがとうございます」

それでも何とか、臆するコト無く返せた。




ただひたすらに、貴方を守り抜いて愛し抜くと誓うから――