「若菜ぁ、研究室、決めた?」

アンケート用紙を前に、浩実が唸りながら訊く。

「決めたよ。」

ニッコリ笑って、ピースしてみせる。

「どこ?あぁ、そこか。」

浩実は、私のアンケートを覗き込み、納得する。

「何、その反応。」

「ん?訊いた私がバカだったな、って思って。」

私もそこにしよ、と言って、浩実はアンケートを書いた。

「でもさぁ。」

「何?」

「前の若菜からは考えられないよね。ベタ惚れじゃん。」

「そうかな。」

「告んないの?」

「告んないよ。」

「何で?」

「いいの。」

恋に落ちた。
それだけで、幸せだ。

「若菜にとっては、恋する研究室、だね。」

「だーかーら、恋したんじゃなくて、恋に落ちたの!」


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