あの後。
 無事に屋敷に帰ってきたオレ達は、早々に離れへと引っ込んだ。

 学校での出来事が、他の使用人や、絵理の父親の耳に入ったら大変な事になる。
 運転手さんには、『運動部の体験入部をしていたら校舎が施錠されてしまい、着替えに戻れなかった』と適当な言い訳をしておいた。

 幸い制服は二着あるので、明日の心配はしなくて大丈夫なのだが、体中傷だらけなので、その手当てをしなければならなかった。

「……これでよし、と」

 絵理の体のあちこちにできた擦り傷を一通り消毒して、オレは救急箱を閉じた。